空き瓶ロマンス
喋りながら、みちるは笑うのをやめない。
口元はもはや、引きつっているだけにも見える。
けれども彼は、嘲笑っているのだ。
報われない事をした、自分を……。
「でもまぁ……あの図書館のは、ある意味決定打だったかな。
あの後しばらく迷ったけど、やっぱり『ああ、やっぱり敵わないなぁ』って思ったんだ」
――身を挺して、私を守った事。
「だから、ちゃんと先生と会ってそう言おうと思ってたんだけど、
何だかんだ、母さんが入院したり余命宣告されたりでバタバタしてて、
まだ言ってないんだけど……まあ、そういうこと。
……驚いた?」