空き瓶ロマンス



そしてどういうわけだか私の毛先は、

それほどセットをしなくても内巻きになっていた。


美容師さんは、

「凄い毛質が良い……これは、ボブ向きに生まれた頭だ!」

と興奮気味だったけど、すっかり綺麗にカットしてくれたので、とても感謝している。


兄も、散々騒いだ末に「これはこれで有り。あー、よかったー」と、落ち着いた。

(その時一番ほっとしていたのは、美容師さんだったけど……)


よって私は忌引き明けに、短い髪で登校したのだった。



それまでずっとロングヘアーで通していたので、教室中が私を見て大騒ぎだった。


「ぎゃああああああ!」
 
もはや悲鳴も「キャー」ではない。

「どうしたの髪ィィィッ!」

「失恋? 失恋したの?」

「でも似合う~!」
 

『親を亡くした』と変に気を遣われるのが嫌で、少し心配していたけど、


皆それをスポンと忘れるくらい、私のイメチェンにはインパクトがあったらしい。


(ああ、何だかすっごく気分が良い……色んな人に、見せたいなぁ)
 


思い立った私は、すぐ行動した。




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