空き瓶ロマンス
突っ込みポイントはたくさんあったのだろう。私の髪とか。
だけど、それ以上に多分、彼が驚いたのは……。
「さ、斎藤みちる……?
お前、何でここに……」
私の横にいた、みちるの存在。
彼は、信也さんの学校の生徒で、彼を脅迫している立場にあった。
もちろん今はそうではないけど、この段階ではまだ、信也さんはその事実を知らない。
信也さんは物凄く怖い顔で驚き、固まっていたが、
やがてかくかくとした動きで「どうぞ……」と中に通してくれた。
「お邪魔しまーす……」
前にここに来た時は、玄関までだった。
私は、信也さんの部屋に上がるのはこれが初めてだなぁと感動していたら、
空気を読まないみちるに、さっさと先を越されてしまった。
信也さんは、お茶出すに至る過程で、
壁やテーブルの足など、あちこちにごちごちぶつかっていた。
私は、いたたまれない感じがしたのですぐ事情を話した。
「粗茶だが……どうぞ」
「ありがとうございます」
「信也さん、あのですね……実は私達、姉弟だったんです」
信也さんはお茶を噴いた。