空き瓶ロマンス



「僕と倫子、手の形が一緒なんです。

ほら、ここ! 僕ら小指がちょっと短いの」
 
みちるは私の手を取り、自分の掌と合わせた。
 
もちろん、みちるは男の子なので、手のサイズは私より大きい。

でも、確かにみちるの小指は私と同じように、短かった。

薬指の第二関節になんて、全然届いていない。


「あー、本当だ!」
 
信也さんよりも、私の方が先に口を開いていた。


「あとね、耳の形も似てるんだ。

見て、ここのとこ。

耳の先が、とがってるでしょ」
 

みちるが、自分の髪をすいっと指でかき上げ、片耳を出した。

私も彼を真似て、耳を出した。

みちると同じように、私の指に触れる耳の形は、彼の耳と同じように思えた。


「ほんとだ、私も耳の先っぽ、とがってるー! デビルズイヤーだ」
 

そんな私達を眺めつつ、信也さんは深呼吸をして自分を落ち着かせていた。
 
目の前の出来事を、彼なりに消化しているのだろう。
 

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