空き瓶ロマンス
 


しかし、私はある事に引っ掛かった。


「ん? でもちょと待って? 

何で、みちるが私の手と耳の形が同じだって、知ってるの?」
  

その瞬間、みちるは頬を紅潮させ、信也さんの形相が鬼のように変わった。


しまった! いらない事を言ってしまった!
 

でももう遅い。


信也さんはすぐさま、さっきのようにみちるの胸倉を掴み、


みちるは困ったように――しかし観念して、顔をそらしていた。
 

信也さんが、無言で『答えろ』オーラを出しまくる。



「……前に、倫子が寝てる時に、まあちょっと色々……」

「何だと!」

「え、それいつの事……?」
 
信也さんが、みちるをぶん投げた。

「んぎゃー!」
 
線の細いみちるの体が宙を舞う。
 

彼が、無事ソファーに落下したのを見届けてから、私は手を叩いた。



「……あ、思い出した」



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