空き瓶ロマンス






 
数日前、私と父と兄は、斎藤家にお邪魔したのだった。
 
あれは、焼き場から帰ってきた時の事……

斎藤家の一室に、祭壇を作る手伝いやらで、私達は斎藤家を訪れた。
 

とは言っても、何時間もかかる作業ではない。

同行していた葬儀社の人が、手際良くぱかぱかと板を組んで白い布を被せ、

骨壷を置いて遺影を飾り、お供え物や花を添えていくと、あっという間に祭壇は完成してしまった。
 

しかし、役目を終えた葬儀社の人達について帰ろうとした私達を、

斎藤家の三人は「お茶でも……」と、引き留めてくれたのだった。
 

そして、なり行きで、斎藤父・うちの父、兄・宗太君、私・みちる、

という組み合わせで、お喋りすることになった。

最初のうちは、リビングで皆でお茶を飲みながら思い思いに喋っていた。


だけど、人間関係が複雑なだけに、話題が途切れる度に、空気が重くなったのは見て取れた。


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