空き瓶ロマンス




「カメなのに、でっかいのが理解できない。

上野の博物館の常設展示とか、迫力満点で物凄く怖いよねー。

あれがカメだって、思いたくないよ」

「僕は、エラスモサウルスだなぁ。

やっぱり、凶悪そうなのって怖いよね。

ラプトルとかもそうだけど……」


「あとね、私『ジュラシックパーク』が怖いの! 

てか、人間の世界に恐竜混ぜちゃ絶対だめ! 

恐竜が、恐怖の対象としてしか見られなくなる!」


「分かるそれ!」

「私はね、化石とか図鑑の絵とかを見ながら、

じっくり『ああ、こんなに凄い生き物が本当にいたんだなぁ』って、ロマンに浸りたいの。

だから、暴れてるのとか見ちゃうと、ちょっとねぇ……」

「僕もそう思うよ」
 

みちるとは、信じられないくらいに意見が合った。
 
同じ恐竜好きでも、兄の修は違うのだ。

兄は動く恐竜が好きらしい。

だから、ジュラシックパークも大好きだし、

ゴジラなんて部屋にどこかからコピーしてきた特大ポスターを張るくらいに崇めているのだ。
 

< 755 / 891 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop