空き瓶ロマンス
「カメなのに、でっかいのが理解できない。
上野の博物館の常設展示とか、迫力満点で物凄く怖いよねー。
あれがカメだって、思いたくないよ」
「僕は、エラスモサウルスだなぁ。
やっぱり、凶悪そうなのって怖いよね。
ラプトルとかもそうだけど……」
「あとね、私『ジュラシックパーク』が怖いの!
てか、人間の世界に恐竜混ぜちゃ絶対だめ!
恐竜が、恐怖の対象としてしか見られなくなる!」
「分かるそれ!」
「私はね、化石とか図鑑の絵とかを見ながら、
じっくり『ああ、こんなに凄い生き物が本当にいたんだなぁ』って、ロマンに浸りたいの。
だから、暴れてるのとか見ちゃうと、ちょっとねぇ……」
「僕もそう思うよ」
みちるとは、信じられないくらいに意見が合った。
同じ恐竜好きでも、兄の修は違うのだ。
兄は動く恐竜が好きらしい。
だから、ジュラシックパークも大好きだし、
ゴジラなんて部屋にどこかからコピーしてきた特大ポスターを張るくらいに崇めているのだ。