空き瓶ロマンス



「……でもさ、本によって恐竜の色や姿がちょっとずつ違うのはまだいいとしてさ。

過去の図鑑には載ってたのに、新しい図鑑には載らなくなっちゃう恐竜もいるってのが驚きだよね」


恐竜の化石が、全身きっちり発掘される事は、滅多にない。
 
大抵は、足の骨や牙などが、ほんの一部見付かるだけで。
 
その為、見付けた一部の化石を、新しい恐竜だと勘違いして命名してしまう事がある。

時には、違う恐竜の骨がまぜこぜになって、学者達の混乱を招く事もある。

 
でも、後の研究でそれが発覚すると、それまで信じられてきた新しい恐竜は、その存在ごと無効になってしまうのだ。


「……私、ウルトラサウルスって、最近までいると思ってた」

「スーパーサウルスの一部だったんだよね、確か。

あと他にも、何かややこしいエピソードがあった気がする」

「論文で、発表した順なんだよね? 恐竜の命名権って」

「早い者勝ちだね」

 
世界中の学者が、太古の生き物を研究している。
 
みんな、その魅力に心を奪われている。

好きな事を仕事に出来たら、どんなに幸せだろうか。

テレビのドキュメンタリーなんかでも、出てくる学者は皆とても嬉しそうに自分の発見や研究の成果を語っている。

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