空き瓶ロマンス



「……というわけです」
 
話が終わっても、まだ信也さんは釈然としない様子だった。

「だから、ぜーんぜんやましくないんですよ!」
 
私は、フォローに必死だった。

考えようによっては、大変やましい話かもしれなかったが、

まあ私達は双子だし、言うなれば姉弟なわけだし、年頃の男女がキャッキャウフフしてた部類には入るまいと信じて。
 

しかし、信也さんはじっとみちるを見つめ続けていた。

感情が籠っているんだか、よく分からない無表情。

目付きがとても悪いので、睨みつけているように見える。


やがて、その重圧に耐え切れなくなったのか、

みちるがそそくさと「じゃ、これで」と立ち上がった。


「そろそろお暇しまーす……」


「あ、待ってみちる。私も……」
 

しかし信也さんが、


「待った」
 

服の袖をぎゅっと掴み、私の動きを阻んだ。


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