空き瓶ロマンス
「髪が短いの、嫌ですか?」
気になって訊いてみると、
「いや、似合うぞ……」
と、平静を装いながら答えてくれた。
「よかった」
「……明るくなったな、倫子」
「そうですか?」
「ああ。でも……」
彼は、私の手を取ると、自分の掌と重ねた。
さっき、私とみちるがやっていたのと同じ、手比べ。
「……?」
「……例え、みちると倫子が姉弟だとしても、俺にはあまりそうは見えない。
何でだろうな?
修と倫子が二人っきりでも、こんな気持ちにはならなかったんだが……」
それは、私と兄が似てるからだろうな、と思った。
家の中での力関係は、父→私→兄の順で、間抜けな発言が多い兄が一番弱いのだが、
他人から見ると、私と兄はどっこいどっこいらしい……。