空き瓶ロマンス
しかし、彼の言いたい事は、そう言う事ではないようだった。
信也さんは、重ね合わせた指をずらし、私の手をぎゅっと握った。
これってもしや、『恋人つなぎ』っていうやつなのでは……
と思っていると、彼はぐいっと顔を近付けてきた。
「……みちると、あまり仲良さそうにしないで欲しいんだ。
……俺と話す時よりも、君が生き生きしてて、……かなり悔しい」
今日ずっと、信也さんが不機嫌だった理由が分かった。
「すいません……全然、そういうの自覚してませんでした」
「そうか……」
――だって、お互いの存在を、最近まで知らなかったにも関わらず、
私にとってみちるは、どこまでも『弟』という認識でしかなかったから。
むしろ、『弟が出来て嬉しい』くらいに思ってて……。
信也さんは、飽きもせずかなりの至近距離で私を凝視している。
さすがに気まずいので、顔を逸らしつつ体をずらした。
しかし、そのまま抱き寄せられた。
密着度MAX。
「…………っ!」