空き瓶ロマンス



「それから……俺は、君とは歳も離れてるし、趣味も合わないかもしれない……」


(そりゃ、ちょっと話の内容もディープだったしね!)



「けど! ……何があっても、守る。


――誰からでも、どんな事からでも、必ず……。

だから、……無理に、笑おうとするな。

空元気なのは、分かってるんだぞ。

もっと素直に……思いっ切り泣いても良いんだ……」



「うぇ……?」
 

 いい加減、腕に力がこもり過ぎてて苦しいんですけど。
 


……なんて、冷静ぶった事を言おうとしていたのに。
 
私の口から漏れたのは、こんなにも情けない声だった。
 
彼の体の温かさと、力強さと、心遣いが直に伝わって来て、私の中で何かが崩れる。
 

虚勢を張ってやっと維持していた、おかしなハイテンションが、ぐずぐずになっていく

 
泣かないと決めていたわけでもなく、出なかった涙が、溢れ出た。
 
涙はどんどん頬に流れて、流れて、顔はみるみるうちにぐしゃぐしゃに濡れてしまった。
 

私は、今回の一件で、どうやらとても疲れていたらしい。
 

自分でも気付かなかったのに、どうして彼には分かるんだろう?
 

結局この日、信也さんは、私が泣き止むまで離さなかった。


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