空き瓶ロマンス
 


みちるはコートの前をはだけさせた制服姿で、

敬礼をだらりと崩したようなポーズをしながら、ゆっくり歩いてきた。


「どういう事? いきなり学校まで来るなんて」

「……ごめん。ちょっと倫子の顔見たくなっちゃって。

……部活は?」

「さっき終わった。

終わったから、急いで出てきたの」

「そっか……」
 

みちるは、こちらが不安になるくらいぼんやりと、笑った。


薄暗い中、街灯に照らされた彼の姿は、何だか元気が無いように見える。


(あれ、目元が……?)


……泣いた痕?

 
「みちる」

「なぁに?」
 

駅に向かって歩きながら、言った。


「いじめられたの?」


「そんな事で、この僕が泣くと思う?」


「泣いたの?」


「あ……」


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