空き瓶ロマンス
「ひっく……『朗らかな花』って書いて、『朗花』ちゃんっていうんですど、
サバサバした性格で、普段は素っ気ないのに、時々優しい子で……」
修は、鼻を啜りながら、ぐだぐだとフラれた旨を話した。
せっかくなので、信也も修の自棄酒に付き合う事にした。
要約する。
修と、その朗花ちゃんとやらが出会ったのは、二人が通う大学の廊下だった。
階段の手すりに教科書を置いて、解けた靴ひもを結んでいた朗花ちゃんは、バランスを崩して、
不安定な場所に積み重ねた教科書に、ぶつかってしまった。
そして、落下した教科書やペンケースが、偶然下の階にいた修の頭に直撃したのだった。
間抜けな……と思ったが、修は大真面目で話していた。
「クールな朗花ちゃんが、慌てて階段を駆け下りてきて……
『大丈夫ですか!?』って……ひっく、それがっめちゃくちゃ可愛くて……」