空き瓶ロマンス
小突き合い、筋肉質の宗太の腕を阻止しながら、何発かお見舞いする。
宗太の手は節くれだってごつごつとして、とても頑丈そうに見える。
事実、とても力強い。
みちるは、自分の細い腕を恨めしく思った。
なまっ白くて細い指。
しなやかな見かけの割に、あまり器用に動いてくれない役立たずの指。
倫子と比べた時は、確かにそれなりに大きく見えたのに、宗太の前ではそれは何の慰めにもならないレベルだった。
小競り合いがしらけた瞬間に、二人はこたつ布団に倒れ込んだ。
久し振りに、子供のような事をして、変に疲れてしまった。
やがて日が昇り、開いたままだったカーテンから、強い光が差し込んでくるようになった。
今日はもちろん学校のある日だったが、何だかどうでもよくなってしまった。