空き瓶ロマンス



「もしかして、新しく入った子の関係?」


「……ただ、私が生意気言っただけです」


「……やっぱりね」


「?」
 

オーナーは、やれやれといったふうに腕を組むと、


「実はね、彼女が入ったのは、これが二回目だったの。


一回目は先週の、パーティー。


……その時も、白井さんと揉めたみたいでね」
 

白井さん、というのは、恵子さんの事だ。


私の一つ年上で、きびきびサバサバ働く、憧れの先輩……。


「……一体何があったんだか、あの子もね、パーティーが終わってすぐ、


事務所に『辞めたい』って言ってきて……」
 

初耳だった。
 

バイトの中ではトップレベルのベテランで、


以前、もうそろそろ制服もワンランクアップになると、嬉しそうに言っていたのに……!



(だけど確かに、いつも大体同じシフトだったのに、恵子さん、今日いない……)



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