空き瓶ロマンス



(確か、あれを一度でも経験した人は、毎年何かと理由をつけて出なくなるっていう……)
 


おかげで、人手が足りなくなる分、毎年参加者は大変な思いをする。
 

というのを、思い出した。


(あ、やっぱり辞めていいかも……)
 

私の心がまたもや辞める方向に傾いた時、オーナーが大きな溜め息を吐いた。


「――××さんを雇ってしまったのはこちら側の責任だし、すぐに首を切るわけにもいかないけど……


とりあえず鳩羽さん、一応、『お休み』っていう形でもいいかしら……? 


彼女が、いつ辞めるか分からないし、その時にまた、復帰するっていうのは……」
 

結婚式場ロージーは、バイトが居つかない。
 

それは、仕事がきついからだ。半端な覚悟で臨む人の多くは、大抵一ヶ月前後でいなくなってしまう。


そして新入りの彼女は、いかにもさっさと根を上げて、辞めていきそうなタイプでもあった。


オーナーも、その事を言っているのだった。



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