空き瓶ロマンス



「でも、私の紹介、って事なら、社員さん達にも覚えが良いし、


何より男の子だから、絶対大事にされると思うよ? 


厨房に近いカウンターの仕事は、シェフ達とも仲良くなりやすいし、


時々いいもの試食させてくれるって聞いたし……」


『うぅ……』
 

これだ! と思い、それから私は、とにかくロージーでバイトをする上での利点を無理矢理列挙していった。


そして、大抵の人は一ヶ月そこそこで辞めてしまうから、もしも本当に辛かったらそうしてもいいんだよ、と。
 

私は粘り、宥め、十数回の堂々巡りの末に、とうとうみちるを納得させた。



『……分かった……。


ほんの少しだけ、試しに働いてみる……。


どうせ、続かないだろうけど……』




「了解。宗太君とオーナーには、私から話を通しておくね。


それじゃ、おやすみ。


ありがとうね……」


『うん……』
 


その後の、ロージーへの影響を、この時誰が予想しただろうか……。


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