空き瓶ロマンス



カトレアは元々、小さな映画館だったところが、経営が変わり、大手のショッピングモールを誘致するのかと思いきや、


時代の流れに抵抗するように、どんどん建て増しされ、お店が次々に入り……


というふうに大きくなっていった変わり種的なショッピングモールなので、建物はあちこちレトロだ。


新館と旧館の差は特にそれが如実で、歪だけど決して閑古鳥が鳴いているわけでもない。


友人の中ではカトレアが嫌いという子もいるが、この片田舎ではカトレア以外に遊ぶ場所もあまりないのが実情だ。


「……っていうか、女って怖いね」
 

ホールのベンチで、みちるがオレンジジュースを飲みながら言った。


「うん、まあ、こんな事、私にとっても初めてだったからね……」
 

その隣で、クレープを齧りながら、私は溜め息を吐いた。



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