絆
安定した生活
ふと横切った誰かの夢に、眩しくて目を塞いだ。
ゆっくりと開けた瞳に映る、これがわたしの日常……
「だからお母さん何度も起こしたでしょ…」
慌てる息子にお弁当を渡して言うと、膨れっ面で出て行った。
最近はロクに口も利いてくれない。
「いってらっしゃい、車に気をつけてね。」
送り出して大きな溜め息を一つ。
玄関の鏡が目に入る。
鏡に映る自分の姿はあまり見たくない。
早足でリビングへ戻ると、荒れ放題のそこを片付け始める。
脱ぎ散らかしたパジャマ。
「脱いだらたたむ!」
食べっぱなしの朝食。
「自分のぐらい片付けてぇ」
カバンから放り出していった教科書。
「ちゃんと部屋に机があるでしょ…」
汚れたジャージ。
「洗濯物は夜のうちに出してっていつも言ってるのに、もぉ……」