絆
N
秘かに憧れていた彼女には、どうやら男がいるらしい…
ぬわにぃっ!と声をあげたいところだが、必死に堪えた。
それではただの変態だ。
離れたところで交わされる会話に聞き耳を立てながら、興味のない風を装ってグラスに目を落としている。
「彼氏は何してる人なの?」
きゃあきゃあと騒ぎ立てる周囲に、困ったような声で彼女は返す。
「えっと…学生…みたいな?」
「年下ぁ?!」
盛り上がる周囲をよそに、俺はため息をついてグラスを揺らした。
ここだけ哀愁漂う雰囲気が、なんとも言い難い色気を醸し出さないか?
隣りのやつが遠くなった気がするが気にしてはいられない。