絆
気がつくともうお昼だった。
手早く食事を済ませて、洗い物をしていると珍しくケータイが鳴った。
夫からだ。
「もしもし?」
どうやら昼休みらしい。
時間がないから、と夫は用件を伝えた。
「今日は早く帰れそうなんだ。
たまには外でメシでも食おう。
六時にいつものところで。
和也にはもう連絡してある。
それじゃ。」
それだけ言うと、一方的に電話は切れた。
「……なんだろう?」
わたしの言葉は宙ぶらりんになる。
いつもそうだった。
夫は夫の都合で、子どもは子どもの都合で生活している。
わたしはいつもそれに合わせるだけの生活なのだ。
専業主婦だから?
仕事を持てばいい?
それは問題のすり替えでしかない。
この単調な生活以外に、わたしには何もないのだ。
涙さえもう渇いてしまって、わたしは家事を終わらせる。
出かけるにはちょうどいい時間だ。
支度を整えて、わたしは家を出た。
今の生活を続ける為に……