絆
店に着くと、すでに夫が席についていた。
「珍しいわね、あなたが先に来てるなんて。」
わたしが言うと、夫は特に気にした風もなく言った。
「そうか?
まあ、たまにはそんな日もあるだろう…」
なんだろう?
何かを考えようとしたところに息子がやってきた。
「和也!」
夫が手をあげてこっちへ呼ぶ。
息子は何も言わずに席に着いた。
…なんだろう?
今日は何か違和感がある。
それは恐らく、家族だけが気づく何か。
一緒に暮らすうちに自然と覚えている癖、それが違和感を教えているのだ。
いつもと何かが違う。
引っかかるものを感じながら、いつも通りのような会話を交わす。
しかし、夫がいつもと違うことをする。