絆
目の前にいるあなたから、笑顔が消えるのが怖いの。
だからいつでも、私の顔に笑顔が張り付いてしまう。
きっと、あなたには分からない。
電話を持つ手が汗まみれになる緊張感。
家のチャイムを鳴らすときの躊躇い。
私には、1つ1つに勇気がいるということ。
1つ1つの会話を消えてしまいたいぐらいの緊張で、私が何度も何度も租借していると。
きっと、あなたには分からない。
笑顔だけが、私を守る壁。
弱い自分に嘘をついて、少しだけ向かい合うための強さを。
だから今日も、鏡を見つめる。
「ウィスキー」
いつか、こんな儀式を止めて、あなたと心から向かい合える日まで。
それまではもう少しだけ、このままの笑顔でいさせて。