セーラー服

毎朝、7時15分に駅に着く。

ぎりぎりの時間で電車に滑り込む。

次の電車を待っても、学校には間に合う。



だけどオレには、その電車に乗らなきゃならない理由があった。




前から4両目、3番目のドアを入った右側。

その時間、その場所に決まっている彼女。



オレは、彼女に恋をしていた。





その日彼女は、本を読んでいた。


彼女のことに気づいたのは、電車が揺れた拍子に、彼女が本を落としたからだ。


慌てて本を拾おうとしたが、荷物が多くてしゃがめずにいた彼女に、オレは本を拾って渡した。


「ありがとうございます」


恥ずかしそうに、けれどホッとしたように微笑むその笑顔に、オレは秒殺された。





か、かわいい……




その日から、オレの早起き生活が始まった。


< 48 / 85 >

この作品をシェア

pagetop