絆
セーラー服
毎朝、7時15分に駅に着く。
ぎりぎりの時間で電車に滑り込む。
次の電車を待っても、学校には間に合う。
だけどオレには、その電車に乗らなきゃならない理由があった。
前から4両目、3番目のドアを入った右側。
その時間、その場所に決まっている彼女。
オレは、彼女に恋をしていた。
その日彼女は、本を読んでいた。
彼女のことに気づいたのは、電車が揺れた拍子に、彼女が本を落としたからだ。
慌てて本を拾おうとしたが、荷物が多くてしゃがめずにいた彼女に、オレは本を拾って渡した。
「ありがとうございます」
恥ずかしそうに、けれどホッとしたように微笑むその笑顔に、オレは秒殺された。
か、かわいい……
その日から、オレの早起き生活が始まった。