絆
傍らに置いてあった封筒から伯父が取り出したのは、一通の手紙と写真だった。
手紙には、伯父への今まで世話になった礼と、この写真を俺に渡してほしいということが、短い文章で綴られていた。
今の俺より、若い母が赤ん坊の俺を抱いて微笑むその写真は、始めて目にする写真だった。
我が家にはほとんど写真がない。
母は、写真を撮るのがあまり好きではなかった。
そして気づいた。
この写真を撮ったのは父だ。
恐らく、母が一番幸せだった頃の写真。
自然と、苦笑が浮かんでいた。
それを大事に取っていた母はやはり、生涯女だったのだと。
そんな俺の様子を見ていた伯父は言った。
「あいつは弱い人間だったからな…」