絆
「どうしたの?」
彼女が、ふと僕の方を向く。
それが優しい声だったからか、裸で向き合っていたからか、僕は不安を彼女に漏らす。
「この関係って、いつまで続くのかな、と思ってさ」
彼女は明るく笑って言った。
「いいんじゃない?」
あたしたちの間を繋いでるのは恋じゃないから。
終わりなんてなくていい。
このままずっと、いればいいじゃない?
一緒にご飯食べたり、お酒飲んだり、感動した映画の話をしたり、仕事の愚痴を話したり、お互いに恋愛の相談を持ちかけたり。
それで、ときどきはこんな風にセックスして一つになって。
ずっと、流れていけばいいんじゃない?
そこにあるものはなんだろう。
流れ着く先には、誰もいないかもしれない。
とり残されてしまうかもしれない。
けれど、僕は決して一人ではない。
そこにあるのは、どこまでも優しい空気だけ……
それだけ、あればいい。