絆
片割れ、という表現は正しくない。
俺たちは割れてできたわけじゃない。
だが、同時に母親のお腹の中に存在したのは確かだ。
しかし、俺たちは笑いたくなるほど似ていない。
よくある遺伝子の法則だが、俺は母親に、向こうは父親に似ている。
そのせいか、昔はことあるごとにぶつかって、争いが絶えなかった。
そう、昔っからマイペースなコイツには、振り回され続けているのだ。
「オニイチャンさぁ、昔からそうだよねぇ…」
ふいに呟かれた言葉の、心を読まれたかのようなタイミングに、動揺した自分が悔しい。
「女顔気にしてんだろうけど。
男らしく男らしくしてるからさ。
反動で一緒にいるあたしがこうなってるの、気付いてないでしょ?」
俺のせいかよっ!
そう言いつつも、コイツの言い分はちょっと正しいのかもしれない。
「だからさ」
「これからはちゃんと妹として扱ってね、オニイチャン?」
…結局それが言いたいだけかよっ?!
こうして、マイペースに俺の二卵性双生児は、弟から妹へと肩書きを変えた……