絆
「人は、人の中でしか生きられません。
アンドロイドは、アンドロイドだけの中では生きられません。
アンドロイドも人も、必要な物は同じです。
違いがあるとすれば、命の長さを、人は人の手によって決めることはできません。
その代わり、人は命を引き継ぐことができます。
アンドロイドは必要とされる限り、生き続けることができます。
人のように新しい命を産み出すことはできませんが、アンドロイドは命を忘れることは決してありません。」
言い切った彼女の顔は、少し誇らしげだった。
「ありがとう。」
ノア、君は最高のパートナーだよ。
呟いた言葉は彼女に届いたようだ。
キッチンへ向かう彼女は、涙を流すことなく泣いていた。