絆
思った以上に情けなく、切羽詰った声が出た。
恥ずかしいことこの上ないが、これ以上は耐えられない。
熊のような風貌のおっさんたちによって、目の前の扉は開かれた。
ホッとしたのも束の間、おっさんたちに両脇をがっちり押さえ込まれる。
「あんた、こんなとこで何してたんだ?」
怪しいものを見るような目つきで睨まれて、言葉を濁す。
「実は…」
これ以上、恥ずかしいことはない、と観念して、俺は事情を説明する。
彼女の誕生日に、びっくりをプレゼントしようと思い、隠れる場所を探していた。
たまたま、使われていない物置を発見し、ここをどうにか使えないかと中を探索しているうちに、扉が閉まってしまって、閉じ込められてしまった。
どうにか開けようとしてみたが、何かがつっかえているようで、全く扉が開かない。
パニックになってしまっていた、と話すと、おっさんたちはガハハ笑った。
「あんた、それじゃあ、彼女の心を開くのは難しいだろうなぁ」
がっくりと肩を落とす俺を残して、おっさんたちは去っていった。
呪文ひとつで簡単に、とはいかないか……
冷たい北風が、骨身に染みた。