夏休みの勉強は『運命の出会い』
〇母親(47歳)の採点
「どうしたの、浮かない顔をして」
三人娘の曇った顔に首を傾げた。
長女の里沙は社会人の彼を、次女の紗絵は高校生の彼を、三女の恵美は大学生の彼を、
三姉妹はそれぞれ“運命の出会い”を果たし、
“運命の王子様”と“運命の恋”に胸を躍らしていたはずだ。
今日、花火大会に告白するのだと意気込んでいたはずだ。
その証拠に長女は可愛らしさのピンク色、次女は清楚な白色、三女は女性らしい紫色…
―――浴衣を着ているのではないか。
にしても、娘たちのオーラのくすぶりようったらない。
「まったく、告白するんでしょう?どうしたって言うの」