オレと私の(仮)

和樹side



「あれ?あそこにいんの情報屋の篠原じゃねーのアキラ」

柵にもたれかかってぷかぷかとタバコを吸っていた巧が不意に保健室を指さす

オレは手に持っていた本から目をあげて、巧の指差す方向を見る


「本当?…うわぁ。しっくんなにやってんの」


逆光でやや見えづらいが、確かに篠原は保健室にいた。
隣の女に殴られて痛みに耐えながら、負けじと殴り返し、外からもわかるような口論している



「うひゃひゃっ!篠原のやつ、あんな表情すんだな」


巧の笑い声が屋上に響く
篠原の隣にいるのは確か、同じクラスメイトの―

不意に、絶叫に似た叫びが静かな屋上に響く


「うわぁぁぁぁぁぁ総長!落ち着いて下さいっす!」
「オレ達が片付けたんで」
「大丈夫っす!!!」
「「「安心してくださいっす」」」



バタバタと同じ顔をした三人の男が、一人の男を押さえつけてる
押さえつけられてる男は、ぴくりとも動かずに半ば三人に引きずられぎみに屋上に入ってきた



「うわぁ…ナニコレ」
「総長っす」
「いや、そゆことじゃなくて…なにがあったの」「…それは」
「言え
「ないっす!」



息ぴったりな同じ顔の三人に多少のイラつきを覚えつつも、引きずられてうつむいてる男の顎を持ち上げて無理矢理上を向かせる



「オイコラ若林!なにやって―………」



無理矢理上を向かせた瞳には、うるっとしていて
いまにもこぼれ落ちそう
…てかこぼれる?



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