年下の王様
引き寄せられて、抱きしめられて…。



斗和の方が大人だ…。



「悪いんだけど時間切れ。父ちゃん迎えに来るから帰るな?」

「えっ!?理事長は知ってるの?」

「お前とのことにウソはつきたくないから。今日は特別。また来週来る」

「うんっ…」

「バイバイのチューは?する?しない?」



もちろん…。



する…。



一瞬だけ触れた唇…。



ポケットで携帯の着信音…。



「ヤバッ、来たな。あっ、これやるからもう別れるとか言うなよ」

「えっ!?指輪…」

「部活ん時に作ってたヤツ。じゃあ月曜日、学校で」



パタンと閉まったドア…。



少し歪んだ形のリング…。



指に通したらゆるゆるで…。



サイズなんか知らないくせに…。



『HINA』って名前が内側に彫られてる…。



斗和…。



大好き…。



大事にするから…。



もう別れるなんて言わない。



本当にごめんなさい…。



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