年下の王様
苦しくて死ぬと思った。



首絞められてて力が出なくて…。



泣いてる英希がすごく可哀相で…。



死ぬ時っていろんなこと考えるんだなぁ…。



ごめんね、斗和…。



「ゴホッ!!」

「ムリ…ごめん陽菜…ごめん、ごめんな…」



急に空気が吸えた…。



英希に抱きしめられてる…。



英希の体が震えてる…。



なにもしてあげられなくてごめん…。



あたしはもう…英希の力にはなれない。



「人生を…やり…直して…。英希…」

「出てくから…。もうお前に近づかない…。陽菜…ごめん、ごめん…」



昔の英希は優しかった…。



あたしには優しかった…。



だから好きになったんだよ…。



その頃の英希に…戻れたら…きっと誰かに愛される…。



少ない荷物をまとめて逃げるように出て行った英希…。



ごめんね、英希…。



なにもしてあげられなかった…。



「情けない…」



あたしに恋する資格なんてないんだ…。



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