年下の王様
目を合わせようとしない斗和がポンッとあたしの肩に手を置いてから上を指差した。



斗和の部屋に行くって意味だ…。



先を歩く斗和に着いて行くと、いつ来てもなにもない部屋…。



ドアが閉まると同時に後ろから抱きしめられた。



背中に感じる斗和の鼓動が早い…。



それだけで泣きそうで…。



「聞きたくねぇ…。別れる系の話しならマジでムリだから…」



こんなに弱い斗和は初めてかもしれない…。



前回別れた時、どれだけ辛かったかを思い出す…。



別れたくない…。



「ひとりで解決できなくて…」

「うん…」

「先に行っとくけど別れたくない。斗和のこと世界でいちばん好き…」



あたしがここに来るって言った時からいい話しじゃないことはわかってたみたい…。



あの斗和が怯えてる子供みたいに感じる…。



「ちょっとタイム…。落ち着け俺…。うん、平気」



そんな目しないで…。



そんな悲しそうな顔しないで…。



今から別れるみたいじゃん…。



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