年下の王様
そして、陽菜が旅立つ前日。



陽菜の部屋は今日で解約してるから俺の家にやって来た。



朝からずっとベッドに座ってなにもしねぇの。



陽菜を後ろから抱きしめたまま、言葉もなくテレビを見てる。



気をきかせた母ちゃんは遊吾を連れて祖父ちゃんちに泊まるんだって。



父ちゃんは陽菜の受け入れ先に先回り。



あっちの空港で陽菜を待っててくれるってさ。



で、ありがたいのが陽太。



店を任せろって言ってくれて、今日と明日は店を回してくれる。



しかも今日はチカちゃんとラブホ行くからって…。



友達って最高だ。



だから陽菜と俺はふたりきり。



「腹…減ったな」

「お昼だもんね」

「なんか作る」

「一緒にやる…」

「じゃあキッチン行くか…」



なんにもしたくない。



ボケッとしてたい。



特別になにかをしたら、余計寂しくなりそうで…。



長い休みにも戻って来ない陽菜は、本当に学びに行くつもりなんだろう…。



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