年下の王様
なにもないのがいちばんいい。



なにも起こらないように生活するのがいちばんいい。



こんなに離れてる場所で、なにかあったらお互い不安でどうしたらいいのかわからなくなる。



だからなにもないように暮らすの。



「陽菜、理事長が呼んでるわよ」

「理事長が…?」

「頼みたいことがあるとかで」



なんだろ…。



あたしなんかなんの役にもたたないと思うんだけど…。



理事長室のドアをノックして入った。



「失礼します」

「おっ、来た。陽菜、うちの息子」

「息子さん…ですか?」

「今16なんだけど、日本に留学させようと思って。それでなんだけど、日本まで連れてってほしいんだ」



日本に…?



あたしが日本に?



「それって…」

「少し羽延ばしてくるといいよ」

「いいん…ですか?」

「よく頑張ってくれてるからご褒美ってとこかな?ゆっくりしておいで」



ウソみたい…。



日本に帰れるよ!!



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