年下の王様
辰衣先生の大きな手が後頭部にあって、腰を折った先生があたしにキスをした…。



日本人は…簡単にキスなんかしない…。



知ってるでしょ?



こんな深いキスは…アメリカでも特別なキスだよ!!



「ちょっ…ヤダっ!!」

「あっ、ごめん…。おやすみ」



口元を押さえたあたしに背を向けた辰衣先生が寂しそうに歩いて行った…。



部屋に入っても心臓がうるさい…。



ドキドキじゃなくて…ドクン、ドクンと…。



斗和以外の人とキスをした罪悪感…。



ポロッと涙が零れた。



ウソ…でしょ…。



口の中が日本酒の味…。



ほとんど食べずに日本酒を飲んでた辰衣先生の味…。



ヤダ…ヤダ…ヤダっ!!



バスルームに駆け込んでうがいをした。



止めようとしても涙が止まらない…。



どうしよう…。



斗和に言い訳しなきゃ…。



斗和、斗和、斗和、斗和…。



あたしがしたことは浮気…?



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