年下の王様
入学祝いとして車を買ってもらった斗和の助手席に乗る。



大学生のくせに高そうな車に乗っちゃって。



「ボンボン丸出しだよね」

「だろうな。俺的に乗れりゃあなんでもいいんだけど」

「片桐君も買ってもらったんでしょ?」

「店回してくれたお礼だとか言って母ちゃんがな」



限りなくお金持ちの斗和のお家。



遊吾君と離れたくないって理由から、斗和も片桐君も家を出ない。



一人暮らししようとした片桐君を斗和のご両親が止めたんだとか…。



卒業式にさえ、片桐君の親は顔を出さなかった。



もう和解は不可能とか…。



切ないなぁ~…。



ハンドルを握る斗和を眺めながら焼き肉屋さんに着いた。



「いらっしゃいませ~」



こんなに堂々とデートできてるなんて夢みたいです…。



幸せ…。



「飲むなら飲んでいいぞ」

「じゃあビール!!」

「今日は帰るから。明日店出るし」

「送ってね?」



頷いた斗和はメニューに目を移した。



< 490 / 549 >

この作品をシェア

pagetop