年下の王様
陽太は毎日ヘトヘトになって帰って来る。



だけど帰ればメシが待ってるからありがたいんだって。



この家で唯一の女は母ちゃんだけ。



毎日忙しそうにパタパタ走りまわってる。



「遊吾~、お風呂入りなさ~い」

「あとで健斗と入るからいい」

「じゃあ斗和、先に入りなさい」



はいはい…。



遊吾が健斗にベッタリなので将来が不安なくらいにして…。



ササッと風呂に入ったら久しぶりに風呂上がりの一杯。



「斗和、俺にも…」

「ん。お疲れだな」

「頭使う仕事は向いてねぇのかなぁ~」

「まぁ飲め。乾杯」



陽太と晩酌することもたま~にある。



朝まで飲んだくれるなんて若気のいたりみたいなことはしないけど。



スルメをかじりながら、しみじみ飲んでしまう親父臭い俺と陽太…。



成人したから誰からも文句は言われねぇのさ。



「最近どうなの?陽菜ちゃんと」

「別に普通。今度旅行でも行くかな~とか考えてた」

「落ち着いたよな、斗和って」



俺も思う。



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