年下の王様
そして連絡を絶ってから1ヵ月。



辛さや悲しみを隠すように生活をしていた。



斗和も働き始めたからきっと忙しいんだと、いい方に解釈をして。



そんなある日…。



『今日行く』



1ヵ月ぶりのメールは呆気なかった。



またなにごともなかったように振る舞って、また険悪になるの?



もうそんなのイヤだよ…。



それとも別れ話かな?



「ははっ…。フラれる覚悟なんかできないよ…」



いまさら斗和なしでどうやって生きて行けばいいかなんてわからないもん。



会いたい。



笑顔が見たい…。



なんでもするから…。



だから…別れるのだけはイヤだよ?



「北川先生、これ、明日までにまとめろだって。残業になりますね」

「残業…ですね…」



返事もできないまま、仕事に没頭した。



なにも考えたくなくて…。



いつもは嬉しいはずなのに、斗和に会うのがこんなに怖いなんて初めてだった…。



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