年下の王様
言えなかった。



陽菜の泣く顔が想像できたから…。



なにも言えず帰った家には母ちゃんと遊吾…。



「斗和、お昼ご飯…」

「いらねぇ。ちょっと寝るから」

「斗和…」



寝不足で気持ち悪いくらい。



どうしたらいいのかなんか全くわかんねぇ…。



やっと好きだと思うことができた女がただ教師だっただけ…。



3ヵ月も我慢したのに…。



まだキスしかしてねぇ…。



別れたら陽菜は他の男んとこに行くんだろ?



体育の教師は去年から来た若いヤツだし…。



照れながら陽菜のことカワイイって言ってたの聞いたことあるし…。



「クソッ…。あっ…」



ベッドの上にあった指輪を軽く投げたつもりがガラスのテーブル直撃…。



ガシャ~ンっと割れてしまって…。



その音を聞いた母ちゃんが慌てて飛んできた。



「だ、大丈夫!?」

「違う!!故意にやったんじゃなくて…」

「なにもしてあげられなくてごめんね…。ケガない?」



母ちゃん…勘違い…なんですけど…。



< 87 / 549 >

この作品をシェア

pagetop