年下の王様
家に来なかったのもそのせい…。



あたしのせいだ…。



「ダメです…。留学なんてダメです!!」

「一晩だけ、ふたりにさせてあげるから。最後の時間、楽しみなさい」

「待ってください理事長!!あたしが…あたしがやめますから…。彼の居場所を…なくさないでください…」

「だったらいますぐ辞表をもらおうか」



絶対ダメだよ…。



職員室に戻って初めての辞表を書いた。



教師なんかどこででもできる…。



短かったけど楽しかった…。



好きだったな、この学校の雰囲気…。



『この度、一身上の都合により退職させていただきます。北川陽菜』



辞表の書き方なんか知らない…。



だからこれしか書けなかった…。



斗和が笑って過ごせるならこれでいい。



「失礼します」

「持って来た?早いね」

「正式な書き方わからなくて…。ごめんなさい…」

「確かに受理しました。じゃあ今夜、斗和に会わせてあげるから」

「はい…」



そのあとの記憶がなかった…。



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