夢の彼方
翌日。


玄関のチャイムを鳴らす音で目が覚めた。


「―――はい」


眠い目を擦りながらインターホンの受話器を取ると、そこから聞こえた声は―――


『あの、渡辺ですけど』


「―――え?」


わたしは思わず聞き返した。


『渡辺です。こんな朝早くからすいません』


「えーと・・・・・なんでしょう?」


『昨日のこと―――突然あんなこと言ってしまって、困らせてしまったんじゃないかと思って・・・できれば、もう一度話をしてもらえないかと思って来たんですけど』


「そう言われましても・・・まだわたし、着替えもしてませんし、困るんですけど」


『大丈夫です。支度ができるまでここで待ってますから』


渡辺の言葉に、わたしは困ってしまった。


と、その時。


『ちょっと、すいません』


という、別の男の声が聞こえた。


『優奈?俺だけど』


「え―――タケルくん?」


『ちょっと早くついちゃって。上がってもいいか?』


「あ―――ちょっと待ってて!」


わたしは慌てて部屋に着替えに戻り、簡単にメイクもして身支度を整えると、玄関に向かった。


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