夢の彼方
それからの日々はめまぐるしかった。


撮影が始まる前に、役者たちやスタッフたちとの顔合わせがあり、ドラマのポスター撮影、CM撮影、衣装合わせなどが毎日続いた。


一番緊張したのはやっぱり他の出演者たちとの初対面だった。


監督のスティーブンとも会うのは久しぶり。


相変わらず明るく、フレンドリーなスティーブンに会うとホッとすることができたけれど。


いつもテレビで見ていた俳優たちと間近で会い、握手を交わす時にはさすがに体が震えてしまった。


こちらへ来てからずっとレジーに特訓してもらっただけあって、会話は何とかできるようになっていたが、それでも緊張してしまってしどろもどろになってしまって・・・・。


「本当に可愛いわ。38歳なんて嘘みたい」


そう言って笑ったのはこのシリーズの1作目から出ている女性刑事役の、サラ・マイヤーだった。


金髪碧眼の、絵に描いたような美女で、見つめられたら吸い込まれそうなきれいな瞳で、傍にいるだけでいい匂いがしていた。


「優奈、よろしく。これからの撮影が楽しくなりそうだな」


そう言ってにっこりと笑ったのは、ドラマの中ではちょっと強面の警部補ランディ・リーフ役の、アーティー・ブラウンだ。


ドラマの中ではあまり表情を崩さないニヒルな役どころだけど、素顔はとても優しそうな男性だった。


< 123 / 149 >

この作品をシェア

pagetop