夢の彼方
「優奈、ちょっと待って」


飛行機を降りようとしたところで、わたしはレジーに呼び止められた。


「え?」


レジーの傍にはなぜかキャビンアテンダントの女性。


「このまま、降りない方がいいって」


わたしは首を傾げた。


「どういうこと?」


「どうやら、人が集まってるらしい」


「人・・・?集まってるって―――」


「ファンとか、マスコミとか―――とにかく、今出たらパニックになる可能性があるから、少し待って欲しいって」


パニックって―――


「いつの間にか、こっちでも有名になってたらしい。まだ放送も始まったばっかりだから、そんなに心配することはないだろうって言ってたんだけどな」


レジーが困ったように頭をかく。


わたしはまだ半信半疑だ。


誰か他の人の間違いじゃなくて?


この日本を離れる時、わたしは芸能人でもなんでもなくて。


期待と不安の胸に抱いたただの一般人だったのに・・・・
< 136 / 149 >

この作品をシェア

pagetop