夢の彼方
まるで別世界のようだった。


歓喜の声でわたしたちを迎える大勢の人たち。


カメラのフラッシュ、握手を求める手、花束やプレゼントを渡そうとする人、人、人―――


わたしはレジーに肩を抱かれながらその人の中を歩いた。


数メートル離れて、子供たちが警備員に誘導されながら歩いて来ていた。


延ばされる手と握手をしながら


渡される色紙にサインをしながら


花束やプレゼントが気付けば腕いっぱいになっていて。


何が何だかわからないうちに、人波を抜け。


ハイヤーの中に押し込まれていた。


「―――びっくりした」


里菜の声で我に帰り、子供たちも全員乗り込んできたことを知ってほっとする。


「とりあえずホテルに向かおう。今日はそこで休んで―――明日からのことはまた考える。こんなことになると思ってなかったから―――ルークと相談しながら、少し計画を変更するかもしれない」


そう話すレジーに。


わたしの胸に、不安が広がっていた・・・・・。
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