夢の彼方
幸い、ホテルから車で出るところは誰にも気づかれなかったようで、追ってくるマスコミなどはいないようだった。


「―――明日は予定通り午前中に旦那さんのお墓参りに行って、午後2時から雑誌の取材が入ってる。その後1時間移動時間があってバラエティー番組にゲスト出演することになってる。このとき、番組側の希望でシークレットゲストっていうことになってるから、他のゲストたちには会わないように裏口から時間をずらしてはいることになってる」


「シークレット?じゃあ、他の人に言っちゃだめなの?」


「そういうこと。誰か言いたい人でもいた?」


「ううん、そういうわけじゃなくって、兄とかにも言わないようにしないといけないなって」


「ま、一応ね。明日はそれで終わり。翌日、朝8時から始まる情報番組にゲスト出演。トークコーナー自体は9時頃の予定だけど、打ち合わせもあるから7時までにはいかないと」


「朝早いね」


時差ぼけは、それほどひどくないと思うけど、前日の番組が遅くなる可能性もあるし―――


ちょっと心配。


「その辺は俺に任せて。で、その番組の後に雑誌の取材―――で、当初はそれで終わりの予定だったんだけど」


「何かあるの?」


「優奈さえ良ければ―――プライベートの様子を密着したいって言ってるとこがあって」


「プライベート・・・・・」
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