夢の彼方
「謎の女優のプライベートに密着。それだけで視聴率が取れるだろ?日にちも時間もこっちの都合に合わせるって言ってるんだけど―――どうする?」


「どうするって―――」


2週間のお休みのうち、仕事が入ってるのは2日間だけ。


あとは家族でゆっくり過ごせるはずだったけど―――


「―――それは、子供たちも一緒ってことかな」


「それは優奈次第だよ。子供たちを出したくなければ優奈1人だって構わない。ただ、あくまでも仕事の拠点はアメリカだ。こっちで子供たちの姿が有名になったとしてもそれほど仕事に影響はないと思うよ。元々、向こうでもドラマにチョイ役で出たりCMに出たこともあるんだし」


「うん―――そうだよね」


メディアに露出するのを心配してるというよりは―――


わたしはちらりと窓から見える景色に目を奪われている子供たちを見た。


テレビにこの子たちの姿が映れば、それをきっとこの子たちの日本での友達も見るだろう。


急にアメリカに行くことになったこの子たちの姿を見たら、喜んでもらえるかもしれない―――。


そんな風に思ったのだ。


「―――いいよ、やっても」


「いいのか?子供たちは?」


「うん、子供たちも一緒に」


そう言って、わたしはレジーに頷いて見せたのだった。
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