夢の彼方
「元気そうだな」


実家につくと、わたしたちを迎えてくれた兄がそう言った。


「向こうでも元気でやってるみたいで安心したよ。でも、忙しすぎて体を壊さないようにしろよ」


「うん、大丈夫」


子供たちは従兄弟の優紀ちゃんに会い、早速部屋で遊んでいるようだった。


「颯太から連絡はあるの?」


旅好きな弟颯太。


母の葬儀の後は会っていなかったけれど―――


「ああ、今オーストラリアにいるって。相変わらずだよ。けど、自分で持ってるとすぐ使っちゃいそうだからって金の管理を俺に頼んでくるあたり、意外と成長してるのかもな」


「あはは、そうなんだ。でも、元気なら良かった。いつかアメリカに来た時は、うちに寄って行ってって言っておいて」


「ああ。そういえば、あのドラマ見たよ。ちゃんと英語しゃべってて、ちょっと驚いた」


感心したように言う兄に、わたしはちょっと笑った。


「なんかその言い方、失礼だよ。すごーくがんばったんだから」


「わかってるよ。で―――彼は、マネージャーだって?」


兄が、ちらりとレジーを見た。
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